エバーフレッシュ

観葉植物取扱説明書

エバーフレッシュの特徴

エバーフレッシュは、昼間は開いている葉が夜になると閉じるネムノキの仲間です。熱帯性の常緑樹で、中南米や東南アジアに自生しています。細い葉がふんわりと広がる樹形が涼しげな観葉植物です。

鉢植えで成長を楽しむことができ、自宅で鑑賞するほかにプレゼントとしても人気があります。「歓喜」という花言葉から結婚祝いにふさわしく、エバーフレッシュという縁起のいい名前から新築祝いや開店祝いにも選ばれます。

エバーフレッシュは春から夏に、タンポポの綿毛のような小さな黄色の花を咲かせます。マメ科の植物なので、花の後には赤い色の豆サヤができます。
エバーフレッシュの育て方

エバーフレッシュは初心者にも育てやすい観葉植物です。日当たりや温度管理など、熱帯性の植物を育てるいくつかのポイントを知っておけば、鉢植えで長く楽しむことができます。

 

置き場所

室内に置くときは、日当たりのよい明るい場所に置きましょう。ある程度日陰でも育つ耐陰性がありますが、あまり薄暗いところではなく、できるだけ明るい場所がベターです。
窓際はよく日光が当たりますが、紫外線が強い時期は葉焼けを起こす可能性があります。レースのカーテン越しにするなどで、強すぎる日差しを防いであげましょう。
夏はベランダや庭でも育てることができます。鉢を移動するときは、急激に強い日光に当てると葉焼けを起こすので注意が必要です。移動して1週間くらいは半日陰になる場所に置くなどで、徐々に紫外線に慣らしていきます。
冷房や暖房など、エアコンの風が直接当たる場所も、植物の水分を奪うので避けましょう。

 

温度管理

エバーフレッシュが枯れてしまう原因でもっとも多いのが冬の低温障害です。生育適温は20~25℃で、最低気温が5℃以下になる環境では生育できません。
冬は暖房のある部屋で育てましょう。暖房を止める夜間も8℃以下にならない環境が必要なので、寒気の伝わる窓際からは離しておきます。
春と秋も最低気温が10℃を下回ることがある期間(10月~4月)は、室内で育てるのがベターです。

 

水やり

エバーフレッシュは水を好む植物で、夜間に葉を閉じるのは、水分の蒸散を防ぐためです。鉢土の表面が乾いたら、鉢底から水が出るまでたっぷり水をやりましょう。
ただし、つねに鉢土が水浸しになっていると、土に空気が入らず、雑菌が繁殖して根腐れを起こす原因になります。鉢土が乾いたころに水をやるのがコツで、何日も濡れっぱなし、乾きっぱなしにしないことが大切です。
生育が盛んな夏はたくさんの水を必要とし、鉢土の乾燥も早いので、2日に1回くらいの水やりが必要です。
成長が止まる冬はあまり水分を必要とせず、鉢土の乾きも遅いので、週に1回くらいの水やりで十分です。鉢土の表面が乾いてから3~4日後に水をやる要領で乾燥気味の環境にします。
「何日に1回」はあくまで目安なので、「土が乾いたら水をやる」のが鉄則です。鉢土の表面を触ってみて水気を感じなくなったら水をやります。
水やりの後に鉢底皿に水がたまっていると、根腐れの原因になります。鉢底から水が滴っている間は、鉢底皿を外しておきましょう。

 

葉水

観葉植物には、霧吹きで葉に水をかける「葉水」がとても大切なお世話です。葉水をすることで葉の汚れやほこりを洗い流して美観を保つとともに、ハダニを除去する効果もあります。
エバーフレッシュは葉からも水分を給水するので、水分の補給にもなります。根に影響を与えないので、葉水は毎日してもOKです。
葉水のやり方は、霧吹きで葉の裏表に水をかけるだけです。風通しの良い場所で午前中にあげるのがコツです。夜間や、寒い時にあげて濡れたままにしておくと、葉にシミのような斑点ができることがあります。
ホコリが目立つようなら、葉水の後にティッシュなどで拭き取ってあげましょう。夏なら庭でシャワーの水をかける方法もあります。水やりを兼ねるとき以外は、あまり鉢土を濡らさないように注意します。

 

肥料

エバーフレッシュはあまり多くの肥料を必要としません。10月~3月の休眠期には肥料をやらず、成長期の4月~9月に与えましょう。
与える肥料は、粒状の緩効性肥料が便利です。錠剤を鉢土の上に置いておくだけで、水やりのたびに少しずつ肥料が土に染み込んでいきます。製品によって1ヵ月、2ヵ月など効き目が持続する期間が違います。
置き肥は一ヶ所に固めて置かないで、決められた量をばらけるように置きましょう。
固めて置くとその下の根だけ肥料分過多で傷みます。
液体肥料を決められた濃度に薄めて、2週間に1回与える方法もあります。

 

植え替え

植物は成長するにつれて根も伸びて、鉢の中で混み合ってきます。成長に合わせて3~4年に1回、一回り大きな鉢に植え替えてあげましょう。
植え替えしないと根詰まりして水を吸収できなくなるだけでなく、水はけが悪くなって根腐れを起こしやすくなります。
植え替えの時期は、成長期の5~9月が適期です。それ以外の時期でも、根詰まりに気づいたら、真冬以外なら早めに植え替えてあげましょう。

根詰まりのサインは次の2つです。
● 鉢底の穴から外に根が伸びている
● 水やりをしてもなかなか鉢底から水で出てこない

【植え替えの仕方】
植え替えは次の手順で行います。
1. 一回り大きな鉢に鉢底石を入れ、新しい用土を1/3ほど入れる
2. エバーフレッシュを元の鉢から取り出して、古い土を1/3ほどほぐし落とす
3. 黒ずんた古い根があれば切り落とす
4. 新しい鉢にエバーフレッシュを入れて、根の周囲に用土を入れ足す
5. 鉢の底から水が出るまでたっぷり水をやる

用土は水はけが良いものを使いましょう。園芸店で販売している「観葉植物用の培養土」を購入すれば間違いありません。培養土には元肥も含まれています。

 

剪定

エバーフレッシュは生育が旺盛で、生育期に入る5月からは新しい枝葉がどんどん伸びてきます。5月~8月の間に1~2回剪定して、樹形を整えるとともに、枝葉が茂りすぎて風通しが悪くなるのを防ぎましょう。

好きな樹形をイメージして、いらない枝葉を思い切って剪定します。混みあったところも間引くように切り落としましょう。あまり樹高を高くしたくない場合は、中心の主軸をカットします。

 
 

エバーフレッシュのよくあるトラブルと対処

エバーフレッシュは丈夫で育てやすい観葉植物ですが、管理の仕方でトラブルを起こすこともあります。よくあるトラブルとその対処法を説明します。
昼間も葉が開かない
エバーフレッシュが夜に葉を閉じるのは、水分の蒸散を防ぐためです。昼になっても葉が開かないのは、樹が水分不足を感じているサインです。水やりの頻度を少し多くしてようすを見ましょう。
たっぷり水をやっても葉を開かないようなら、根詰まりを起こして根が水分を吸収できないのかもしれません。水やりの後にすぐ鉢底から水が出てこないようなら、根詰まりしている可能性があるので、一回り大きな鉢に植え替えましょう。

 

葉焼け

室内から庭に出すなどで急激に強い日光を浴びさせると、葉が茶色く葉焼けすることがあります。
温かくなって庭やベランダでエバーフレッシュを育てるときは、一気に強い日光に当てずに1週間くらいは半日陰の場所において、植物を紫外線に慣れさせましょう。

 

葉落ち

エバーフレッシュは、生育環境が合わずにストレスを受けると、枝ごとぽろりと葉落ちすることがあります。

ストレスとなるのは次のようなことです。
● 低温
● 日光不足
● 水分不足や水のやすりぎ
● いきなり強い紫外線に当たるなどの急激な環境の変化

上記の「育て方」を参考に、植物のストレスを解消してやると、いったん葉落ちしても徐々に元気を回復して、新しい葉が伸びてきます。

 

根腐れ

水のやりすぎや根詰まりで、鉢土がつねに水浸しになっていると、根腐れを起こしやすくなります。土が空気を取り込めないので、嫌気性の細菌が繁殖して根がダメージを受けるのです。
鉢土の表面にカビが生えたり、腐敗臭がするようなら根腐れしているサインです。そんなときは、植物を鉢から取り出して土をはらい、黒く変色した根を切り落として、新しい土に植え替えましょう。
根腐れが進行すると幹もブヨブヨと柔らかくなります。そうなると回復は難しいですが、軽症の内なら回復する可能性があります。

 

害虫

エバーフレッシュにつくことがある害虫には、ハダニとカイガラムシがあります。

【ハダニ】
葉の裏側につく小さなダニで、赤い粉粒のように見えます。枝葉が込み合って風通しが悪くなると大量に発生することがあります。

間引き剪定と葉水が予防策としても、発生したときの対策としても有効です。葉水をするときに葉裏をよく見て、ハダニが発生していたら霧吹きやシャワーで洗い流しましょう。残っているときはティッシュで拭き取ります。

【カイガラムシ】
葉の茎に白や茶色の小さな貝殻のようなものが付着していたら、カイガラムシという害虫です。たくさん着くと美観を損ねるだけでなく、樹液を吸って植物を弱らせたり病気を媒介したりします。

カイガラムシは葉水では落ちないので、歯ブラシでこそぎ取りましょう。大量に発生している部分は枝葉ごと切り落とすのが簡単です。

カイガラムシが発生しやすいのは5月~7月の繁殖期です。風に乗ってどこからともなくやってくるため予防するのは難しいので、葉水をするときによく観察して、大量発生する前に駆除することが大切です。

 
 

エバーフレッシュのまとめ

エバーフレッシュは、繊細で涼しげな葉のようすや、夜には葉を閉じて眠る仕草(?)が愛らしい人気の観葉植物です。
冬の温度管理に気をつければ初心者でも簡単に育てることができ、何年にもわたって旺盛な成長のようすを楽しめます。